パチ屋のチラ裏は書きづらい

好きなことを語りたいだけ。

月島蛍はバレーが上手なのか。

 

月島蛍が好きです。

興味を持ったキッカケは、声が浅羽悠太(=内山昂輝)だったから、ただそれだけなんですけど、アニメを観て、そのストーリーの面白さに原作まで買い揃えて、更に月島蛍にはまり込んでゆく。あああ尊い月島蛍。

 

そんな月島くんで気になったことが。

月島くん、お兄ちゃんいるじゃないですか。お兄ちゃん、高校時代に一度もユニフォーム着られてないじゃないですか。

……月島兄弟、どっちがバレー上手いのかなって。

 

ていうか、月島くんのバレーの腕って烏野の中でもどのくらいかなって。

 

 

そもそも、ツッキーはバレーを好きで続けてたのかなって。

 

 

▽月島蛍、ガツーン以前。

月島がバレーを始めたのは、兄の影響で間違いない。大好きな兄が楽しそうにやってることを、自分もやってみたい。兄ちゃんがあんなに夢中になるんだ、楽しいに決まってる。そういう想いでバレーボールを始めたのではないだろうか。

実際に少年団チームに入ってみて、最初は上手くいかないことも多いし、思ってたより楽しくなかったかもしれない。本編中に山口の台詞で「鳥飼元監督が、勝負事で楽しむためには、強さがいるって言ってた」とあったが、バレー始めたばかりの頃は、技術も未熟であまり楽しくなかっただろう。

それでも、バレーの話を兄とするのは楽しかった。『兄とのコミュニケーションツール』という役割を持ったバレーは、月島にとっては楽しいものだった。しかも、上達すれば、兄に褒められる上に、少し難易度の高い高校生レベルのバレーが理解できるようになる。

兄と毎日バレーの話をした

゛今日 ココを褒められた 怒られた″

゛コレがうまくいった 調子が良かった 悪かった″

※第10巻 88話

 

初心者が「ナニコレ難しい!やめる!」と匙を投げるのはよくある。それを続ける原動力は『好き』という気持ち、あるいは『強迫観念』だろう。『好き』が、日向や影山なんかはバレーという競技そのものに一直線に向かっているが、幼い月島は、兄に真っ直ぐ向いている。兄が好きだから、バレー上手くなりたい。

バレーそのものの面白さを当時感じてたかは知らないけれど、月島がバレーを続けた理由は、兄の存在に他ならない。

 

 

▽月島蛍、ガツーン以降。

 

【ガツーン】直後の「カッコ悪い」という台詞は、山口も言っていたように、兄に向けたものではない。自分自身に向けたものだ。

何がカッコ悪かったって、『兄に不要な嘘までつかせた』ことが。兄を嘘つきに仕立て上げ、兄自身が自責の念にかられる状況を作り上げた。月島は、自分が悪いと思い込み、だけどこの状況を改善する方法を思いつけなかった。

すべての原因は、月島が兄へ過度な期待を背負わせたこと。

 

月島は割と計算的な考え方の人物で、可か不可かで物事を判断すると想定する。

『兄は高校でもエースになる』ことを、幼い月島は【可能】と判断し期待した。が、結果は【不可】だった。

ここで月島本人がガッカリするのかは判らないが、月島が『兄が「弟がガッカリする」と思っている』という考えに至るのは十分あり得る。そして、自分に嘘をついた兄よりも、兄に嘘をつかせた自分を責めていた。

「自分の期待が、兄を傷つけた」と、月島は認識した。多分、自分自身も傷ついた。

 

『期待は、人を傷つける』という計算式が、月島の心に追加された。齢十の幼い心に、それはきっとトラウマだった。

だから月島は、期待をしない。

 

期待することを止め、バレーへの、兄への熱がスっと引く。目が覚めるように、幻が消えるように。社会や人生という大きな枠の中では、バレーなんて些細なこと。「そんなに必死になる程の事だったのか?」と思うのも、当然だろう。

 

兄が嘘をつかなければいいじゃないかとは考えるものの、どうあがいても兄は嘘をつく結果にしかたどり着かない。

月島は「期待しなければ」と思っているが、兄はきっと、弟からの期待が欲しかった。弟からの「すごい!」という言葉が欲しかった。だから、嘘をつき続けた(一度でも嘘をついた手前、引くに引けなくなったものあるだろうけど)。

 

 

▽中学生ツッキーのバレーへの取り組み推測。

【ガツーン】事件は小学五年生のときだが、月島はその後もバレーを続けている。少年団のチームを辞めた可能性もなくはないが、『北川第一の影山』を知っていたので中学ではバレー部に入っていただろう。

 

期待をしない。故に、努力もできない。上達を目指さないのに、バレーから離れることがなかったのは、きっと『強迫観念』があったから。

たかが部活、兄ちゃんは何故必死になってたんだろう。その答えを探すために、バレーを続けたのかもしれない。

単に、兄との繋がりを失いたくなかったからかもしれない。

 

もしかしたら、そんな深い理由もなく、ただ何となくバレーボールを触り続けたのかもしれない。

 

月島の出身中学は、雨丸中学校。山口も一緒だ。

強豪ではないだろう。中学でエースだった月島の兄が、(宮城代表になった強豪とはいえ)烏野高校でベンチにすら入れなかった程度。七年も差があれば学校の部活のレベルは大きく変化するが(烏野は実際三年で地に落ちてる)、月島の時代の雨丸中学のレベルは、まあそこそこと仮定しておく。

よくある学校の部活動。ある程度の目標を定め、とりあえずソレに向かって練習する。試合があれば臨む。毎日の練習にはルーティンがあって、こなして……。

何か大きな変化があるわけじゃない。惰性的で、バレーは一日の中のひとつ。あえて強く意識することでもない。

 

月島は負けず嫌いだ。ネットを挟んで勝負すれば、少なからず「やってやる」という気持ちになると思う。烏野進学後の三対三でも王様相手にムキになってるので。

でも、一度コートを離れると「ま、負けるのも仕方ないか」という心持ちに変わるだろう。たかが部活、たかがバレー。試合終わったな。そういえば、あのバンド新譜が出てるんじゃなかったっけ。来月発売のゲームの予約もしよう。テストも近いし、勉強しようかなあ。何もバレーに比重を置くことないよね?

 

 

 

バレーになんて本気にならない、と思っていたのに、月島は烏野高校に進学し、排球部に入部届を出した。兄の進んだ道を辿った。

 

 

 

▽月島蛍のバレーの実力。

本題。

兄が一度もユニフォームを着ることができなかったのに、月島は物語序盤からスタメンである。

バレーボールは、リベロが0~1人の場合は12人、リベロ2人の場合は14人まで選手登録できるそうで。つまり現在の烏野高校は、部員全員がユニフォームを着られる。

スターティングは、リベロ1人を含め7人。基本的にセッター1、ウイングスパイカー3、ミドルブロッカー2、リベロ1である。

 

烏野のMBは最初3人で、二年は成田、一年は月島と山口。一番最初の対外試合は、青葉城西との練習試合。

この練習試合のスターティングを決めたのは、澤村、菅原、影山だ。

  • 青城から「セッターは影山」という条件をつけられた。
  • 日向と影山のコンビネーションの効力を試す目的があった。
  • 西谷と東峰は復帰前、鳥飼コーチは就任前。

上の条件で、スターティングは決められた。

ここで日向が、WSからMBにコンバートである。日向をMBにしたのは、MBが割と真ん中にいることが多く(センターポジションとも言う)、速い攻撃をバンバン打ってくるからだと思われる。もちろんレフトだろうがライトだろうが平行とかの速い攻撃はあるけれど(シンクロ攻撃は、サイドやバックアタックも含め全員速いテンポの攻撃だし)、日向はチョロチョロするのが仕事なので、真ん中にいるのが都合がいい。

 

そして、もうひとりのMBだが……。

成田、月島、山口のなかから選ばれたのは月島である。

 

二年の成田は、身長が山口とあまり変わらないので、月島が選ばれた理由は長身だからだろう。成田はキツい練習に耐えられず、縁下、木下と共に部活をサボったことがあるため、部活少年としては平凡な実力と想定する。成田、月島、山口の実力がどんぐりの背比べなら、身長が抜けている月島が選ばれるのも納得できる。後に鳥飼コーチにも「実力で抜かれるようならレギュラーを変えることもある」と言われているので、覚醒前の月島は本当に平々凡々な部活少年だ。

 

身長の他に月島が他と大きく異なるのは、【頭の良さ】である。

入部直後の三対三では、影山に「思った以上にやるな」と評価されている。少なくとも、影山のお眼鏡にかなってはいるのだろう。苦手なことも、そつなくこなす。宮城県選抜強化合宿で、日向が「怒られる月島は新鮮だ」と評しているが、それだけ月島はミスを少なめに(あるいは上手くごまかして)プレイしていたのかもしれない。

青城の監督や及川は「ちょい賢いノッポ」「クレバーなブロッカー」と評価。

音駒との最初の練習試合でも、孤爪は「賢い、冷静、反応も早い」と評価。

第三体育館での練習でも、木兎は「賢くかつ冷静、読みは良い」黒尾は「身長も頭脳も持ち合わせている」と評価していた。

バレーボールをプレイする上での、最低限の実力はあった。

ただ、覇気に欠ける、百点を目指さない等の指摘もあるので、身長や頭脳を持っていたところで積極的に生かそうとは思ってなかったのだろう。

当たり前だが、本気でバレーやってる烏野排球部の中では、月島の実力の伸びは圧倒的に悪かった。

 覚醒前の話だ。

 

月島の覚醒は、山口の喝から白鳥沢戦二セット目のセットポイントまで長い時間をかけた。その変化は、白鳥沢戦まで表に出ることはなく、チームメイトがハッキリと変化を感じた瞬間は、あの時のセットポイントだろう。森然高校での合宿、最後の対梟谷戦では「なんか違った」程度の認識とする。

実際の気持ち的な覚醒は、全国区エース木兎さんの意見と帰省した兄の想いが一致した時点で、そこから第三体育館や社会人チームでの特訓で驚異的に実力を伸ばしていったと捉えた方が、私的には気持ちよく納得できる。

いや、伸ばしたのは単に実力のみではない。今持っているカード(実力)で一番効果的な戦術を立てる術だ。新たに習得した技術は一人時間差と黒尾さんのブロック技術がメイン。

【日向のブロックガン無視攻撃】【西谷さんのスーパーレシーブ】【影山の生意気なセットアップ】【シンクロ攻撃】を手持ちカードとして、黒尾さんに与えられた【リードブロック】を実際に使用してみて、それらを上手いこと利用してウシワカのスパイクを止める。

相手の手持ちカードのパラメータ、戦術、特徴を分析した上で、こちらのカードをどう使うかというセンスが、烏野の中では月島と影山が抜けて秀でてる。何故か条善寺の照島くんが頭をよぎるんだけど、試合シミュレーション的な意味で似た意味を持ってるのかも。

 

更に月島の実力を伸ばしたのは、宮城県選抜強化合宿だ。

日向の試合状況を見る力、そしてレシーブ上達が大きく感じる強化合宿だが、条善寺高校の穴原監督提案「二対二で試合を成立させろ!」で月島も基礎力を上げただろう。セッターレベルには遠いが、セットアップの技術も習得。また『赤子セッター』黄金川の高めのトスに合わせて高く跳んでいたことが日向経由で烏野メンバーにも認知され、影山に打点を上げられてしまった。

 

他のチームメイトも手持ちのカードを増やしている。

新たな技術を身に着けると、劣る部分も目立つ。月島の場合はスタミナ不足とレシーブが顕著だろう。が、ブロックの技術が極端に優れている。

 

 

 

伊達工業との練習試合までの実力の伸びをまとめてみたが、結局、月島はバレーが上手なのか。

月島本人の自己評価は低い。しかし宮城代表である烏野高校のスタメンとして、最低限の仕事をしなければならないとは考えているだろう。同じくスタメンの日向を、覚醒後はライバルとして見ていることからも、推測できる。

そして、自己評価は低いが周りからの評価は意外と高い。春高で試合を観戦していた木兎さんが、何故か「うちのツッキー」とかいって自慢してるし(赤葦さんの「月島はうちのじゃありません」というツッコミも好きです)、日向は月島を露骨にライバル視、影山も「侮れん」という反応。

 

月島の自己評価と他者の評価にこれだけ差があるのは、何故か。

 

先に、月島は計算的な考え方だと想定していた。

月島のブロックの組み立ては、チームが勝つためのブロックだ。兵庫代表の稲荷崎高校、角名が、エース尾白を止めた影山に対して「眼鏡(月島)よりコッチ(影山)のが怖い」と言う。月島は、自分がスパイクをどシャットするより、チームが勝つため(後ろがレシーブしやすくするため)にコースを絞ることを考える。

チームが勝つのには、己の力を示すことが必須だとは思わない。

だから、月島は『目立つような』素晴らしい選手ではないという自己認識を持っている。

 

しかし、『目立たない』素晴らしさもある。

 

西谷が音駒リベロの夜久を「目立たない」と評しつつ「実力のあるレシーバーは必ずしも目立つわけじゃない」と日向に言う。

澤村は、見えない土台だ。

実際に、全日本男子代表チーム監督(?)が烏野対稲荷崎を見て、月島がコースを絞り澤村が上げる場面で「飛び道具ばかりじゃないね」と仰るが……そういうことなのだろう。

ワンタッチじゃ満足できない白鳥沢の天童、怖くない(止められない)ブロックはブロックじゃない稲荷崎の角名。それに比べて「止めてナンボのブロックなんて古い」と言い切る月島は、己の欲求が全く見えない。「機械か」「ロボットか」と言われるのもわかる。

ピンポンのスマイルことMr.月本などとは言ってはいけない

 

 

月島の特殊で怖い部分は、やはり『ガッカリするほど冷静』な部分なのか。

 

 

 

 

余談

烏野の中で一番他人と関わるのを避けそうなツッキーが、第三体育館とか社会人チームとか選抜強化合宿とか、一番活動コミュニティが多いの面白い。

今のところツッキー呼びしてるのは、

  • 山口(烏野)
  • 黒尾(音駒)
  • 灰羽(音駒)
  • 木兎(梟谷)
  • 金川(伊達工)

だと思う。こんなあだ名が広まってるキャラ他にいる?

……まあ、ツッキーは下の名前で呼ばれることが無いので、その代わりかな。

 

個人的に伊達工の女川くんが「パンタロン」と呼ばれてるのがツボです。